No.207 湿原のシカの蹄の開き
2014年10月25日
姜 兆文
5月末、尾瀬沼及び周辺の湿原を訪ねた。写真に示したような、蹄の開きが普通より広く開いたシカの足跡を初めて見た(写真1、2)。見てすぐに、これはニホンカモシカの足跡だと思ったので、同行者の皆にシカとカモシカの足跡(写真3)の特徴について説明した。その日の夕方、湿原でシカを発見した。シカが走り去った場所に行って、シカの足跡を確認し、驚いた。なんと、昼間見た足跡と同じ特徴だ。もしかしたら、この地域のシカの足跡の特徴はかなり湿原の環境に適応し、蹄の開きも他地域のシカより幅が広くなっているのかもしれない。中国に生息していたシフゾウ(四不像“蹄は牛に似て牛にあらず、頭は馬に似て馬にあらず、身はロバに似てロバにあらず、角はシカに似てシカにあらず”といわれる)は、湿原に適応した典型的なシカの仲間で、蹄は大きく、広く開くことが特徴である。シカは1990年代になってからこの尾瀬湿原に進入し始めたもので、短い期間でも蹄の爪の開きかたはかなり速く適応してきたことが考えられる。
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