研究員によるフォトブログ

No.36 GPSテレメの回収*

2006年08月21日

瀧井 暁子
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 WMOでGPSテレメを使い始めたのは2000年頃からです。当時回収した首輪から得られたデータをみて、人力による追跡の限界を感じたものです。
 その後、シカやクマなどにGPSテレメを装着する機会がたびたびあり、今や野生動物調査には必要不可欠な道具の一つとなっています。ところで、最近の目下の問題は、首輪に取り付けた「脱落装置」が作動しない、ことです(データを首輪に蓄積するタイプでは、首輪ごと回収しないといけないため、脱落装置をとりつける)。もちろん脱落装置が作動するものもありますが、作動しないで、高額な首輪と金額には換えがたいデータの入った首輪をシカやクマがもって去っていく姿を見るとき・・・なんともいえない喪失感を感じます。 
 最近使用している脱落装置は、「信号を送信することで脱落させることができる」というタイプです。これとは別に内臓タイマーもついていますが、もっとも動物に接近したときに任意に首輪を脱落させることができる、というのが最大のメリットです。
今年も1年近く追跡したクマ、シカの首輪回収を何度か試みました。動物が比較的アプローチしやすい場所にいる時に見計らって、接近して信号を送信したのですが・・・・目の前に動物が見えているのに、脱落装置はビクともしない。しかも、立て続けに2件も。その動物が生きていて、元気にしていることを確認できたのはいいのですが、やはりがっかり。念のため書きますと、これとは別に正常に作動したものもいくつかありました。
欧米では、GPSテレメを何十台もシカやクマに装着する大掛かりな研究体制で実施しているようなので、そのなかの数台の故障は、あまり大きな問題ではないのかもしれません。
私にできることは、こうしたトラブルの1件1件にクレームをつけていくことです。機械音痴な私は、メーカー側が前向きな姿勢でトラブル改善にむけて努力するのを願うばかりです。
*GPSテレメとは、GPS(全地球測位システム)を搭載した電波発信器のこと。あらかじめ設定したスケジュールにしたがって、データを自動的に取得する。

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