No.319 ミノムシ
岸本真弓
小学校の頃、見つけたミノムシを持ち帰り無情にも簑を剥いで、毛糸クズで簑を作らせたことがある。その後そのミノムシをどうしたか、無情にも覚えていない。
10月、鳥取の山でミノムシを見つけた。オトナになった私はネットでミノムシのことを調べてみた。
日本のミノムシは「オオミノガ」の幼虫であることが多いそうだ。オオミノガはオスは羽化して羽を持ち「蛾」の形態になるが、メスは一生ミノムシのままなのだそうだ。オスは簑の中のメスに、外側から細めた体を差し込んでメスと交尾して果てる。メスはその中で卵を産み、卵が孵化したら、簑の下の穴から落下して果てる。孵化した幼虫は母の出ていった穴から出て、糸を垂らして風に乗って分散する。たどり着いたところで簑を作り、エサを食べ、6月~10月に脱皮と新しい簑作成を繰り返して大きくなり、しっかりとした簑を枝に結わえ付けて越冬する。翌年4月~6月に簑の中で蛹となりオスは羽化し、メスは簑にとどまる。と、ウィキペディアに書いてあった。
写真は10月のものであるから、越冬準備後か直前の幼虫だろうと思う。ヒサカキだと思うので、常緑だろうが、自分で囓ったような葉では心許ないので越冬は丈夫な枝にとりついて欲しい。
子供の頃は子供であるが故に、ずいぶん残酷で無責任なことをしてきた。ただただ、おもしろかったからやっていた。今となっては、そういう子供時代を過ごせたことをありがたく思う。多くの生き物がそこいら中にいて、まだまだ知らないわくわくするものがたくさんあった。そして自分の行いで簡単に生き物は死んだ。
奥山の豊かな自然はそれはそれで憧憬ではあるが、里山や農地の小さな生態系にもまばゆいばかりの命があふれていることを知って子供はオトナになって欲しい。
ちぎってませんよ。念のため。
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