No.3 三角点探訪<その3>
岸本真弓
鳥取県日野町/岡山県大佐町・新見市界4等三角点(1034.9m)
2002年5月11日雨のち曇り
日野町三土の集落から標高差500mほどをひたすら登る。嫌な予感は的中し、着いた県境尾根にはササが密生していた。その上、県境だから尾根道がついているかもという淡い期待も見事に裏切られた。伐採のせいか何のせいか森林が成立せず唯一面ササ原となり、ほんとにササだけならまだしも尾根とおぼしき辺りには膝位の位置からこれでもかと横に枝をはったマツが、まばらではあるが行く手をふさいでいた。ということは、天気が良ければ絶景なのかもしれない。しかしそれどころでなかった。ササは概ね背丈を上回り、歩くというよりまさに泳ぐという状況。カッパも作業服も貫き通した雨が胸元や脚を流れ、強風に煽られていれば、「もうどうにでもして~」と身を投げ出したくなる。寒さとどこまで続くのかという不安を「もう少し」「もう少し」というまじない言葉でごまかしながら進む。例えるなら甲子園球場の外野をおはじきをとばしながら進んでいるようなものだと思いつき、むなしく一人笑いをした。
ガスで視界は10~20mほど(写真)、たらーとした地形で方角を読みづらい。ゆるくカーブを描きながら1km程度の距離をだらだらと登った先にある0.1haほどの楕円の丘の中心に三角点があるはずだった。とにかくそこで一度場所を確認しなければ、今までの自分のコースも、下り進む方向もわからない。
この辺りのはずだが見つかるのだろうか・・・ コンパスを握りしめただひたすら進んできた私の目の前に現れたのは、車さえも通れる林道だった。押し出されるようにササ原を出て林道に降りた。10mほど進むと、そこに私がはいずり回って探していた三角点があった(写真)。言葉もない。だが、調査をしているとよくあることではある。
2002年6月20日 鳥取県イノシシ痕跡密度調査にて
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