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Field Note 公開記事

No.142 石川県加賀市に生息するカモシカ――行動圏と老齢個体の動き――

2019年04月発行

石川県加賀市に生息するカモシカ――行動圏と老齢個体の動き――   山元 得江(WMO)   【はじめに】 石川県南部の加賀地域では、ニホンカモシカ(以下「カモシカ」という)以外の調査でカモシカを目撃する機会が多かった。また、白山山麓に設定されている白山カモシカ保護地域は、全国のカモシカ保護地域の中でもカモシカ密度が最も高い地域の一つである。一方で、同地域にはニホンジカ(以下「シカ」という)が侵入して分布域が拡大すると共に生息数が増加している状況にある。この地域に生息するカモシカ3頭にGPS首輪を…

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No.141 尾瀬だより ~生物編~

2019年04月発行

尾瀬だより ~生物編~ 後藤 拓弥(WMO) 前回の歴史編に引き続き、今回は尾瀬に住む生物にスポットライトを当てます。尾瀬国立公園内および周辺域(南会津町含む)では多種多様な生物を観察することができます。ほんの一部ではありますが、私が確認できた観察種をいくつかご紹介します。 ■哺乳類編 哺乳類はニホンジカ、ニホンカモシカ、ツキノワグマといった大型獣からニホンザル、キツネ、タヌキ、テン、ヤマネ、オコジョ等々、小中型哺乳類まで多様な種が観察されます。尾瀬に生息するニホンジカは、これまでの環境省のGPS首輪による調査結果…

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和歌山タイワンザルの群れ根絶の報告

2019年02月発行

和歌山タイワンザルの群れ根絶の達成 白井 啓(WMO、和歌山タイワンザルワーキンググループ)   あっという間の24年間 あっという間に月日は流れていたが、ふりかえってみると24年もの長い時が経過していた。あっという間の24年間、粛々と進めてきたとも思うし、同時にさまざまな喜怒哀楽のできごともあった。本来責任のないタイワンザルと交雑ザルを、侵略的外来種だという人の論理で一方的に強制的に捕獲したわけで、祝賀会をする気持ちはない。しかし、日本の外来種対策において大変貴重な事例であり、多くの方々の協力で達成でき…

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No.140 乱反射

2018年10月発行

乱反射 三木 清雅(WMO)   今日、あなたは何を求めて行動しているだろうか。 私は今、原稿の〆切に追われ、野生動物は生きていくために最も重要な食物探しに日々追われているはずである。野生動物にとって食べ物の確保は生死に繋がることであり、それを利用して捕獲にも「エサ」が用いられて、食べ物にありついたら結局死に至ることもある。 山の中を熟知している野生動物にとっても食物探しはきっと容易ではないはずであり、禁断の農作物に手を出すニホンザルがいる。農作物被害に遭っている農家さんに話を聞く機会があるが、よくこんな…

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No.139 野生動物を撮る

2018年07月発行

野生動物を撮る 稲葉 史晃(WMO)   皆さんは「野生動物をとる」と言われた時、どの「とる」を想像しますか。野生動物に関わる方々は「捕る」が浮かぶ人も多いのではないでしょうか。私もその一人ではありますが、今回はとるはとるでも野生動物を「撮る」について書かせていただこうと思います。 モリアオガエルの撮影  モリアオガエルという名前は聞いたことがあっても、見た事のある人は少ないかもしれません。成体は森林で生活し、繁殖期の4月~7月になると林縁近くにある湖沼に集合し産卵します。梅雨の時期に、池際の木に白い塊が…

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No.138 追い払いを通して知ったニホンザルの魅力

2018年04月発行

追い払いを通して知ったニホンザルの魅力 榎本 拓司(WMO) 〇はじめに 私は今から6年前の春、野生動物調査の世界へ足を踏み入れました。それまでは、京都で環境問題について学び、2005年にフィリピン共和国ルソン島にある山岳地帯にて森林回復のための苗木植栽・維持管理の仕事に関わっていました。その後、日本で里山の管理・公園・街路樹・庭園などで造園の仕事をしていました。そして2012年に造園から転身して、ニホンザルの追い払い事業に関わらせていただいた事をきっかけに、追い上げ事業やさまざまなサル業務に関わらせていただき、今…

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No.137 生態系被害防止外来種アメリカザリガニ

2018年01月発行

生態系被害防止外来種アメリカザリガニ 平山 寛之(WMO) 読者のみなさんは外来種というと何を思い浮かべるだろうか。釣りをする人であれば、オオクチバスやブルーギル、野鳥観察が趣味の人であればソウシチョウ、哺乳類に興味があればアライグマやマングースが思い浮かぶだろうか。 先に挙げた動物は、外来種の中でも特定外来生物に指定されているものである。環境省HPによると外来種は「もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物」とされている。その中でも、生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害が…

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No.136 「狩りガール」~有効活用:はじめてのシカ角加工~

2017年10月発行

「狩りガール」~有効活用:はじめてのシカ角加工~ 関 香菜子(WMO)   2016年の4月発行(no.130)のFIELDNOTEで、「「狩りガール」~葛藤の日々~」というタイトルで、私が初めて銃猟でシカを捕獲した時のこと、なぜハンターになろうと思ったのか、ハンターとしての葛藤の日々や今後の思いを書いた。今回は、その続編にあたるのか、有効活用の現状についてまとめ、私がはじめて行ったシカ角加工について紹介する。   有効活用として最初に思い浮かぶのは、食肉利用(ジビエ)だと思う。ジビエブームとし…

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No.135 謎の多いイノシシの山での仕事

2017年07月発行

謎の多いイノシシの山での仕事 岸本 真弓(WMO)   野生動物は生態系の中で様々な役割を担っている。その役割や関係性は複雑で、私たちヒトの理解を超えている。だから、わかったなんて言うのはおこがましいが、それでもその一端を見て、想像を膨らませ楽しむことぐらいは許してもらいたい。 2017年4月上旬、京都の山を歩く。もう20年続くシカのモニタリング調査である。そしてこの日の私の担当するコースは、この20年間誰にも譲ることなく私が歩いてきたコースであった。勝手知ったる地形の中、いつものように登り、曲がり進んで…

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No.134 市街地に出没するニホンザルの現状と対応

2017年04月発行

市街地に出没するニホンザルの現状と対応 海老原寛,清野紘典,檀上理沙,岡野美佐夫,岸本真弓,加藤洋(WMO) ~ハナレザルの市街地への進出~ 全国的にニホンザル(以下、サル)による農業被害や生活被害、人身被害が増加しているのは、すでに周知の事実であろう。この中で問題の中心となっているのは農業被害であり、各地で捕獲や防除対策が行われ、被害問題の解決に向けて尽力している。 このような現状の中、近年、新たなサル問題として、市街地に侵入したハナレザル(ハグレザル)による生活被害や人身被害が増加傾向にある。テレビのニュースな…

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No133 ネズミ捕獲奮闘記~ネズミ調査、はじめました~

2017年01月発行

 ネズミ捕獲奮闘記 ~ネズミ調査、始めました~ 榊 葵(WMO) 【はじめに】 皆様、新年明けましておめでとうございます。早いもので、2016年も終わってしまいました。入社してからは、とにかくついていくことに必死で、あっという間に9ヵ月が過ぎました。カウント調査やロケーションでサルを追っかけたり、山登りをしたり、道なき道をヤブ漕ぎしたり、サルやシカに触ったり、クマに襲われたり、大学4年間を上回るぐらい濃い9ヵ月だったような気がします(言い過ぎ?)。 【ネズミ調査概要】 そんな私ですが、大学の卒業論文では、エゾシカの…

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No.132 シカ肉とわたし

2016年10月発行

シカ肉とわたし 田中 啓太(WMO) 私が初めて(意識して)シカ肉を食べたのは高校生のときでした。カヌーイストで作家、自然保護活動家でもある野田 知佑さんという方をご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、その野田さんの一味に藤門 弘という男がいまして、両親の大学時代からの友人ということで昔から親交があり、そのときも藤門からの突然の電話でことが始まりました。 「ケイタ、良いシカ肉が手に入ったから野田さんと一緒に食おうぜ」 今考えると色々と不可解なことが多いのですが、中野あたりだったと思いますが、マンションの1室を藤…

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No.131 拾う、残す、利用する~私の有効活用法~

2016年07月発行

拾う、残す、利用する ~私の有効活用法~ 檀上 理沙(WMO)   最近は狩猟や有害捕獲によって捕殺したシカやイノシシを食肉として有効活用するため、飲食店でジビエ料理の提供を行ったり、加工品を販売したりと、鳥獣被害対策や地域活性化に貢献する取り組みが積極的に行われ、各地で定着してきている。私自身も、料理はあまり得意でないがシカやイノシシを自分で調理して食べ、サルやアナグマを入手した際は職員同士で試食会をしたことがある(写真1)。食肉として有効活用するためには、衛生的に処理されていることが大前提である。一方…

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No.130 「狩りガール」~葛藤の日々~

2016年04月発行

「狩りガール」~葛藤の日々~ 関 香菜子(WMO) この雑誌を手に取った皆様は、「狩りガール」という言葉を、これまでに何度も耳にされていることと思います。狩猟免許を取得して、ハンターの世界に飛び込んだ女性達のことを指します。環境省の報告によると、狩猟免許の所持者は昭和50年で約51万8千人でしたが、平成25年度には約18万5千人と半減している中、女性だけでみると、平成8年度の1,107人から平成25年度には2,636人に倍増しています。近年、女性ハンターがメディアで取り上げられる機会も増えるなど、ひそかな盛り上がり…

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No.129 アジア大陸と日本列島をつなぐ対馬

2016年01月発行

アジア大陸と日本列島をつなぐ対馬 山元 得江(WMO) ◆対馬というところ 対馬は、九州と韓国の間にある面積約696km2の島で、長崎県に属している。対馬-福岡間の距離は航路で約132km、対馬-韓国間の距離は約49.5kmであるため、実は対馬は福岡よりも韓国の方が近い。対馬の最北端の展望台では天気が良ければ韓国が見え、韓国からの観光客も多いため道路のほとんどの看板にはハングル文字が併記されている。また、過去には遣隋使や元寇、近代の戦争などで幾度ともなく要所となってきたことからも分かるように、対馬は大陸と日本を繋ぐ…

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No.128 IWMC関連シンポジウム「クマ類の安全な捕獲処理と捕獲処理技術・個体管理の最適化向けて」報告

2015年10月発行

IWMC関連シンポジウム 「クマ類の安全な捕獲処理と捕獲処理技術・個体管理の最適化向けて」報告 岸本 真弓(WMO)  今でもよく思い出す。あれは2002年のことだったか?  日が傾き始めた農地の横で、クマを放すなんてとんでもないと怒り口調で詰め寄る男性に、片山君は反論することもなく、静かに話を聞く。ひとしきり話した男性のトーンが少しさがったところで、片山君は「安全に作業を行います」と言う。そして作業は続けられた。  今はもう私たちが住民の方の抗議の矢面に立つことはない。 各担当の行政の方々が説明にあたってくださり…

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No.127 見えるって、素晴らしい カワウ目線で考えるニホンザルの保護管理~分裂するものたちへの挑戦~

2015年07月発行

見えるって、素晴らしい カワウ目線で考えるニホンザルの保護管理 ~分裂するものたちへの挑戦~ 加藤 洋 (WMO) 1.カワウの保護管理の特徴  他の野生鳥獣と違い、カワウ(鳥類)の保護管理に特に欠かせない事は、「広域的な視点」である。カワウは、河川や湖沼等の内水面だけでなく、海水面等の水面を広く利用している。また、ねぐら(※1)として利用する場所は、人間の生活圏に深く入り込んでいる事が少なくなく、都市部を流れる河川の河畔林や湖沼、住宅地に囲まれた都市公園やゴルフ場といった、人の生活圏と近接した環境を利用している。…

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No.126 お元気ですか

2015年04月発行

お元気ですか (株)野生動物保護管理事務所 代表 羽澄 俊裕  これは私が(株)野生動物保護管理事務所(WMO)の代表として書きあげる最後の原稿となります。私はこの4月で60歳になりましたので、当初予定どおりWMOの代表職を引退いたします。28歳の時にWMOを始めましたので、いつの間にか32年も経てしまいました。長きにわたり御支援をいただきましたことを、深くお礼申し上げます。  1983年(昭和58年)に初代代表の東英生の自宅で看板をあげて以来、このささやかな機関誌を通して、野生動物を護るということを考え、主張して…

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No.126 代表交代にあたって

2015年04月発行

代表交代にあたって (株)野生動物保護管理事務所 濱﨑 伸一郎 羽澄俊裕氏の代表取締役退任に伴い、新たにWMOの舵取り役を任されることになりました。前代表在任時と同様にご指導とご支援のほどお願いいたします。 羽澄さんは1983年に東英生さん(初代代表)とともにWMOを創立されて以来、Wildlife Managementのシステムを社会に根づかせることを目標として長年にわたって力を注がれるとともに、WMOをここまで牽引してこられました。今でこそ野生動物管理という言葉は普通に使われ、法律にも記載されるほど社会に定着し…

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No.125 日本哺乳類学会2014年度大会に参加して~かわいそう、かわいいって難しい~

2015年01月発行

日本哺乳類学会2014年度大会に参加して~かわいそう、かわいいって難しい~ 溝井 彩(WMO) 昨年の哺乳類学会もまた様々な演題が並び、どの講演に行こうか頭を悩ませる、充実した数日間でした。中でも特に印象的だったのが、静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センターの方々が発表された、硝酸塩を使用したシカの捕獲試験に関してのシンポジウムでした。硝酸塩入りの餌を食べさせ、酸欠状態を起こし死に至らせる方法です。反芻動物以外に影響はないとして、今後のシカ対策の一手として期待されており、ニュースにも取り上げられました。しかし、イン…

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