研究員によるフォトブログ

フォトブログ一覧

No.175 もよおすところ

2012年11月発行

岸本 真弓  痕跡は、そこに棲む動物たちの生きる証拠であり、彼らの生きざまを想像させてくれる貴重なヒント。糞は、山歩きで最も目につく痕跡だ。  写真はテンやイタチとおぼしきイタチ科の糞。イタチ科は、なんだか目立つところによく糞をする。何かの上にしてあると分解が遅い可能性があるにしても、なんでもない地表面より、けっこう主張を感じるところに多いと思う。  写真左上は大きな葉っぱの上。右上は三角点石柱の上。左下はプラスチック杭の根元。右下はなぜか落ちていた靴下の上。ここに我有り、あるいは、ここは自分のもの、とばかりに糞が…

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No.174 DOR

2012年10月発行

岸本 真弓 Dead on the Road:路上の死(体)。多くは交通事故。 ところが、一見無傷で、交通事故にはとても思えない様子で、モグラやヒミズのDORをとてもよく見る。これは何なのか、なぜモグラやヒミズはここまで頻繁に道路上でボタンと死んでいるのか、野生動物調査に関わる多くの人たちの疑問だ。昨年、先輩調査員の方がこの謎を解くべくある検証をすると言っていた。謎解きが待たれる。 写真は同じ日に同じ道路でみつけたモグラ(上)とヒミズ。 20121001_dor.JPG

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No.173 角2

2012年08月発行

山田 雄作 No.169ではシカの袋角について紹介しましたが、今回はカモシカの角の写真です。 角のアップの写真でわかりづらいのですが、添えてある手の正面にあるのが角で、右側に見えているのが耳です。 カモシカの角はシカとは違い雌雄共に生えます。また、毎年抜け替わることはなく生涯延び続けます。そして、よく見ていただくと角を一周するように溝が見えますが、これを角輪といい、この溝の数によって年齢を推定することもできます。 シカとカモシカ名前が似ているので、混同されやすいですがシカはシカ科、カモシカはウシ科で同じ角でもここま…

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No.172 従順な子ジカ

2012年08月発行

横山 典子 滋賀県の山を歩いているとき、登山道の脇をふとみると、薮も何もないちょっとしたくぼみに子ジカが寝ていた。朝の9時くらいのことである。とりあえず写真を撮りその場を去った。  山頂で仕事をして同じルートを戻った。もういるはずはないだろうと思いつつ、子ジカがいた場所を見ると、寝返りをうったのか、寝ている向きは変わっていたが、まだそこにいた。午後4時くらいである。つまり、7時間はずっとそこにいたことになる。  さわれるかもしれないと思って近寄ると、相変わらずじっとしている。そーっと手を伸ばして頭に触れると、全く逃…

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No.171 勝ち? 負け? それとも

2012年07月発行

岸本 真弓  京都の春山。一度ツル性植物に巻かれた経験を持つと思われるアベマキの木が立っていた(写真上)。しばらく進むと、今度はツル性植物が死んだ木を抱えていた(写真下)。お互いの力関係なのか、それとも本ブログNo.160のように第三者介入があったのか。  このあたり、広葉樹林の多くがアベマキ、コナラといった樹皮がごわごわの樹木ばかりになっている。シカが食べないからなのだと思う。 20120730_kachimake.jpg

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No.170 地上絵

2012年07月発行

岸本 真弓 滋賀県のあるところに、「鹿の楽園」と名付けられ、看板まで立っているところがある。看板をすぎてしばらく行くと草原にでる。草原というか、時季は秋だから、草も枯れて裸地である。そこに絵(線)がある。1本は、人が歩く登山道。他のすべての線はおそらくシカ。まるで地上絵のようだ。 20120713_chijoue.jpg

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No.169 角

2012年06月発行

山田 雄作 先日、神奈川県の丹沢山へ登ったときに出会ったシカの1枚です。 この時期にだけ見られる袋角のオスです。 シカの角は枝角と呼ばれ、毎年落角と再生を繰り返します。 角は春から秋にかけて形成され、形成途中は写真のように袋角となり、秋には袋がとれて立派な角になります。 20120630_tuno.jpg

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No.168 山で出会った有毒植物

2012年06月発行

中山 智絵 雁坂峠を訪れた際、妖艶な色の花をつけた植物が沢沿いに繁茂していた。この辺りはシカの影響で下層植生はすっからかんなのだが、この植物は元気いっぱいに葉を広げていた。 これはもしや有毒植物なのではないかと思い、家に帰って早速調べてみると、やはり有毒植物であった。しかも全草有毒で、死亡することもあるそうだ。その名はハシリドコロ(ナス科ハシリドコロ属)。名前の由来も恐ろしい。ハシリドコロの“ハシリ”は誤食した後に幻覚が生じて走り回ることに由来しているようだ。 厚生労働省のHPには、芽生えをフキノトウや柔らかく美味…

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No.167 プロゴルファー猿?

2012年05月発行

岸本 真弓 三重県のあるサルの群れを追跡する機会を得た。3日間の調査であったが、3日間ともひとつのゴルフ場に滞在していた。昼間はゴルフ場を取り囲むようにある林で採食し、夜はゴルフ場内に点々とある林で眠っていた。朝早くにはゴルフ場内を闊歩する。私たちはゴルフ場には入れないので、遠方から観察するだけ。 ゴルフ場も災難なんだろうが、人馴れが進むという点ではサルにとっても喜ばしくない。 20120523_purogorufa.jpg

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No.166 行き着くところ

2012年05月発行

岸本 真弓 毎秋訪れる滋賀の山。 尾根を道路がぶった切っているので、法面を右に左にちょこまか歩いて道路に降りる。途中移動する法面中段の幅50cmほどのコンクリ道(?)に大きなタヌキのため糞がある。今年もあった。 タヌキにとってここが終点なんだろうか。 20120509_norimennotamefun.jpg

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No.165 コハクチョウ

2012年04月発行

山田 雄作 1月の千葉県での調査の際に山から下山したところにあるダムでコハクチョウを見つけました。 この調査ではあまり水辺へ近づくことがなかったので、気持ちよさそうに水際で羽ばたくコハクチョウを見て、癒されていました。越冬のためにやってくるようなので今は日本にいないかもしれません。 神奈川の山の中ではミソサザイやオオルリの囀りが聞こえてくる季節になりました。 20120426_kohakuchou.jpg

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No.164 コシダの家

2012年04月発行

岸本 真弓 久しぶりに和歌山の山を歩いた。 台風の爪痕が激しい場所を避けたため海岸沿いが多くなった。 「そういえば人生最大の藪は和歌山のシダ藪だったなあ」などと思い出す。 そんなシダが上手に家に作り変えられていた。イノシシの繁殖用の巣。 よく見るのはササで作ったものだが、ここではコシダ。シカの忌避植物でもあるため、そこいら中に繁茂している。イノシシ君(さん?!)、もっと使ってくれないかな。 20120412_koshida.jpg

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No.163 リボンちゃんと猫ふぐり

2012年04月発行

岸本 真弓 ころんとしたシラキの実はネコの精巣のようだ。 丸みを帯びたハート型のマルバノキの実はまさにリボン。どちらもとてもかわいい。これらは朔果(草かんむりのある朔)で、成熟すると果皮が裂けて、中から種子が飛び出てくる。私が名前にいただいた「真弓」の実もそうである。   20120405_ribon.jpg

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No.162 頬袋(ほおぶくろ)のドングリ

2012年03月発行

清野紘典 頬袋はサルにとって食料を運ぶための大切なポケットである。文字通り頬が袋のようにふくらみ食べ物を詰め込むことができる。たくさん物が詰まっていると“こぶとりじいさん”のようになる。頬袋に詰めたものを食べたいときは、適宜手で頬袋を押し口内に物を押し込む。 学術研究で山のサルを眠らせたとき、その頬袋から大量のドングリがでてきた。 いつもならカキや穀物類が出てくる時期である。 今秋、ドングリ類が豊作だった。 クマやサルは里に出てこず、自然が豊かであれば獣たちが十分に山で暮らせることをあらためて教えてくれる1年であっ…

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No.161 帰り道

2012年03月発行

山田 雄作 調査からの帰り際に道の脇からガサガサと大きな音がしたのでライトで照らしてみると2頭のイノシシが争っていたので動画を撮影しました(写真1)。 人目も気にせず少しの間争いが続いた後、一頭がコンクリート塀から落とされ国道上に落ちてきましたが(写真2)、あまり慌てる様子もなく頭に枯葉をつけたままトボトボと林内に消えていきました(写真3)。 動物の急な飛び出しにはご注意を・・・ 20120311_inoshishi.jpg

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No.160 「絞めるか、切るか」

2012年02月発行

岸本 真弓  今秋、鳥取の山でねじれた木を見つけた(写真1)。 太いツタがりっぱな樹をねじっている(写真2)。 ふと根元をみると、イノシシの擦り跡があった。そしてそのツタが切られようとしている(写真3)。  生物がそれぞれ生きる中で、何が何にどう影響するかは私たちの想像をはるかに超えていると思う。 20120216_nejirukakiruka.jpg

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No.159 「有終の美」

2012年02月発行

岸本 真弓 秋。鳥取県内、兵庫県境近くの山。 少し早いが楓が美しく色づいていた(写真左上)。 近づいて見ると、悲しいことにそこで色づく3本の木の樹皮はすべて、シカによって全周が剥ぎとられていた(写真左下)。見上げるといっそう美しく、まさに有終の美だった(写真右)。カエデ類の種は夏から初秋にかけて熟す。いつ皮を剥がれたのかわからないが、きちんと子孫を残したろうか。見た目の美しさより生物としてのしぶとさという美しさに賭けたい。 20120208_yusyunobi.jpg

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No.158 「今年の秋、鉄塔を見て考える」

2011年12月発行

岸本 真弓 秋、恒例のシカ調査。滋賀県のいつものコースを歩く。このブログNo.44、70、132と同じコースだ。 鉄塔の下は見晴らしがいい。周囲の樹木が切り払われているからだ。だから、No.132のようにサルのランデヴーをのぞき見したりもできる。  しかし、今年、私の目は鉄塔から離れなくなった。どこからか電気を運ぶ無数の鉄塔と電線。どこでどのようにして電気は作られているのだろうか。人間の便利な暮らしを支えるために、自然が、誰かが、犠牲になっているのではないか、またそれを強いるのではないか。3.11は、変わらぬはずの…

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No.157 蜘蛛の網 (行く手を阻むもの6)

2011年11月発行

岸本 真弓  糞を探しながら下を向いて歩いているとかすかに空気が重くなったような圧力を頭に感じることがある。やってしまった! と瞬時に止まり、後ずさりする。 ねっとりとへばりついた蜘蛛の巣がねちねち音をたてながらゆっくり頭から離れていく。突っ切ってしまった時は、パックをはぐように顔から網をはずす。面としての形状はかなり頑丈だ。  この蜘蛛の巣、場所や時期によるが多い時には多い。細い枝を斜め前方に突き出し、くるくる回しながら歩けば、網をかぶることはない。しかし、そうもやってられないこともある。 蜘蛛の網vs岸本関。痛…

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No.156 バク?

2011年10月発行

岸本 真弓 7月14日、とあるところで自動撮影装置がとらえた写真(上)。 まさか、夢を喰うというバク?! 正体は泥からあがってきたイノシシのお母さんでした(下)。 水深はあまり深くなかったのでしょう。でも、犬座姿勢にはなったような濡れあとです。 意外と知られていませんが、夏場のイノシシにはあの剛毛がなく、とってもヌーディ(円内)。 20111024_baku.jpg

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