フォトブログ一覧
No.155 500台湾ドルの花鹿
清野 紘典 台湾を旅した際に、換金した紙幣にふと眼が留まった。 台湾の紙幣500台湾ドル。日本円では約1500円に相当する。その紙幣にはニホンジカの亜種タイワンジカが描かれていた。 タイワンジカは今、台湾でどのようになっているのだろうか? タイワンジカは鹿の子模様が梅の花のようであることから“花鹿”とも呼ばれる。 花鹿は漢方薬として需要が高く中国等に広く流通していた歴史を持っているが、過度な狩猟圧によって台湾本島の野生下ではほぼ絶滅している。 どのような捕獲方法を用いてシカの個体群を絶滅まで追い込んだのか、日本にお…
No.154 ナイス!!!
横山 典子 屋久島で、いいものを見つけました。 橋のたもとにある像ですが、ものすごくリアルです。 ニホンザルのしっぽが長かったり、 タヌキのしっぽに縞模様が入っていたり、 飛び出し注意のシカがオジロジカだったり、 動物への誤解が多いこの時代の中で、ひときわ異彩を放つ完璧なニホンザルです。 動物を相手にすることを生業としている我々(言い換えると、マニアックな人間)の目から見ても、すばらしいできばえです。 そのサルに、タオルのはちまきをつけた人、この方もすばらしいセンス。 反対側の橋のたもとには、角を切られたオスジカが…
No.153 残念です。
岸本 真弓 「山火事注意」の看板(図1)と「工事中ご注意ください」の看板(図2)。 残念です。 どうして尻尾をシマシマにしてしまうのでしょう。 それじゃ、アライグマですから! 20110912_zannendesu.jpg
No.152 巣箱に住むと幸せになる?
姜 兆文 丹沢山のある地域で4人が話しながらシカの調査をしていたところ、ヒノキの幹に掛けてあった巣箱からムササビの頭が出ているのを見つけた(写真)。皆は小さな声で「ごめんなさい」と言って互いに笑った。つまり、夜行性のムササビは私達のうるさい声に睡眠を邪魔され起こされたのだ。 このムササビとの出会いからあることが考えられる。山を歩くと、鳥・ムササビなどのため、あちこちに巣箱が掛けられているのが見られるが、これは戦後大規模な造林によって動物が巣として利用していた穴等がある古い木がなくなってしまったための一時的な措置…
No.151 懐かしい味
中山 智絵 サルの調査に出かけた際、ホオズキの食痕を見つけた。食痕を観察しながら、幼いころには私の家の庭にもホオズキがあったことを思い出した。 この実は食べられるんだよ、と教えられて食べたオレンジ色の果実は渋くて酸っぱい味がした。少し苦かったかもしれない。しかし、赤く色づいたものは渋みがあまりないので、時々口に運んでいた。体に良いらしい、とも聞いたからだ。それを見ていた祖母は「あんまり食べると毒だよ。」と注意した。当時は、体に良いのに毒があるなんて本当かなと疑っていたのだが、今になってびっくり。ホオズキには薬効…
No.150 キツネのメニュー
山田 雄作 先日、甲斐駒ケ岳へニホンジカの調査に行ってきました。天候はあいにくのため期待していた高山帯の壮大な景色を楽しむことはできず、むしろ雨に打たれて寒くて大変厳しい調査でした。 そんな調査の帰り際、甲斐駒ケ岳のピーク付近でキツネの糞を見つけました。高山帯でのキツネの生息は以前から確認されていることから、キツネの痕跡の発見はよくある自然なことではあります。 問題はその糞の中身であり、1本の輪ゴムが確認できました(写真1)。このことからキツネが人の出した残飯やごみを利用していることがわかります。実はキツネの…
No.149 掃き溜めに鶴?
岸本 真弓 春、家の近くの山にタヌキのタメ糞を探しに行った。いつも仕事で行く京都の春シカ調査よりも1ヶ月ほど遅い。タメ糞も季節をうつす。 タネを積極的に食して運んだわけでもないだろうに、青々とした草が畦のようにタメ糞場を囲み、里の花が咲いていた。可憐な花は“掃き溜めに鶴”とでも言えようか。私には花よりも糞がいとおしいが。 20110815_hakidamenituru.jpg
No.148 仕事の道具(その6) 吹矢筒と吹矢の力学(および美学)
片山 敦司 我々が使う道具の中で吹矢筒(blow pipe)ほどシンプルなものはない。何のことはない、ただのアルミパイプである。 しかし、侮ってはならない。blower(吹矢を吹く人)-darts(吹矢)と一体になった時、吹矢筒は高性能の捕獲器と化すのである。 スポーツ吹矢で使用される吹矢は初速130km/hとされる。マレーシアの狩猟民族は約2mの筒を使い、30m先の獲物を倒すという。 吹矢筒が長いと射出力が高まる。筒の長さ(L)、呼気による圧力(F)、吹矢の重さ(m)・速度(v)にはFL=1/2 mv^…
No.147 闘って・・・
岸本 真弓 オスジカ2頭の死体である。 植林木を防護するために林内に張られた網にからまって死亡するシカは多い。 オス2頭の死亡時期に大きな差はなさそうだった。 闘った相手はシカだったのか、それとも網だったのか。 20110719_tatakai.jpg
No.146 葛の山 (行く手を阻むもの5)
岸本 真弓 樹林を伐採したあと、植林せずに放置しているのか、あるいは植林したがこうなってしまったのか、クズがあたり一面を覆っている斜面に出てしまうことがある。 クズは、成長が早く繁殖力が旺盛である。スルスルとほふく前進し、根や茎を次々と派生させ、立ちはだかるものがあればよじ登りまきついていく。その結果、地表面だけでなく、他の植物にもからみつき、大きな葉を広げて覆いきり、樹木の成長さえも阻害する。 写真は福井県。草本類や低木などを軸に私の背丈ほどの3次元のクズが延々と。いったいどこまで続くのか、どうなっていくの…
No.145 蛇と蛙、弱肉強食?
姜 兆文 ある日、富士山北麓で発信機を装着させたシカを追跡するため、狭い林道を車で走行していた。すると、林道の途中に倒木があり、先に進むことが出来なくなってしまった。車から降りると写真に示したように蛇(ヤマカガシ)がカエル(ヒキガエル)を呑み込む光景に遭遇した。瞬間的にカエルを助けようと思ったが、落ち着いてみていると、カエルは一生懸命蛇の口から逃げようとしている。また、蛇も生きるために必死に食物(カエル)を確保していた。これは皆さんがテレビ番組でよく見る、アフリカサバンナの草原に生息するライオンとトムソンガゼルと…
No.144 ヒサカキの花の香り
岸本 真弓 花粉に対抗する体内の薬がわずかに優勢となると、あの香りが鼻を通ってくる。 春、新入社員の初めての山歩きとなる京都シカ調査。したり顔で「近くにシカの死体があるよ」と解説したものだが、2年前に気づいたその正体はヒサカキの花。トンコツラーメンの臭いという人もいて、当時シカの死体臭には賛同が得られなかったが、強力な賛同者を見つけた。なんと麻布大の高槻成紀先生だ。高著『シカの生態誌』にある。 ただ、実際に死体があるときもあるのだ。 20110613_hisakaki.jpg
No.143 イノシシの寝床 -1年後の姿-
山元 得江 イノシシの痕跡の中で、ササで作られた寝跡があった場所は記憶に残りやすい。そのため、これまでに調査したことのある場所だと「前回このあたりにあった寝跡はどうなっているだろう」と思いながら調査することも多い。 写真1は、2010年4月21日に調査した時に撮ったもので、イノシシがササで作ったベッドである。大きさは1×2.5mくらい、厚みは30~40cmほど。ササの緑色が退色しかけているが、寝た跡(中央の窪地)が残っているため、さほど古くないと思われる。写真2は、2011年4月20日に同じ寝跡を撮ったもので、写…
No.142 鵺の森
山田 雄作 鵺をご存知でしょうか? 鵺(ヌエ)とは頭が猿で胴体が狸、手足が虎で尻尾が蛇の姿をした妖怪です。 調査で夜間の山に入ると時折、鵺の声を聞くことがあります。右の写真は調査時にその声が聞こえてきた林内を写した写真です。怪しげな発光体はともかく、どこにも妖怪の姿は写りませんでした。 実は私たちが聞いた声の主はトラツグミという鳥です。トラツグミは日本の本州四国九州に生息し、昔から鵺のように鳴く鳥とされてきました(逆に鵺がトラツグミのように鳴くともいいます)。 現代は調べればたいていの事象は明らかになり、も…
No.141 ツバメ家族との出会い
姜 兆文 2010年、南アルプスのシカ調査期間の7月30日早朝、宿の前にある芦安集落のメインロードを散歩した際、ヒナを育てているツバメと出会った。バスターミナルの白い建物のドアのそばに巣があり、親鳥が餌を運んでくると5羽のヒナは並んで大きなクチバシを開いて、幸せそうに受け取っていた。この光景を見て、幼い頃田舎の実家の玄関でヒナを育てていたツバメのことを思い出して、懐かしかった。 ご存知のように、ツバメとスズメは人間と同じ生活環境に生息している代表的な2種の鳥である。人類が農耕社会になると共に進化した結果だと思う…
No.140 寒中水泳
佐伯 真美 吐く息も白くなる真冬の寒い日に、寒中水泳を楽しむ?サルがいた。 ダム湖でサルの群れを観察中、喧嘩により逃げ場を失ったオトナオスが湖に飛び込み、約200m先の岸まで泳ぎきるのを目撃した(写真1)。このオトナオスは逃げ場を失ったのだから、まだ致し方ないと思えたのだが、その翌日、別の群れの老齢メスが湖を悠々と泳いでいるのを目撃した(写真2)。何か騒ぎがあった訳でもないのに、この寒い最中、何故、老齢メスが泳いでいるのか理解し難い。その後、この老齢メスは約100m先の岸まで泳ぎ、岸辺で日向ぼっこをし始めたのだが…
No.139 羊歯の海(行く手を阻むもの4)
岸本 真弓 これまでの調査人生、最大の薮は15年ほど前、和歌山で立ちはだかったシダだ。高さは2mを越え、手の届かない上空で葉は笠のように覆っている。周囲は壁。茎が土壁の木舞のようにびっちり編まれている。押しても引いてもビクともしない。狭い足下でピョンと跳ねて全体重をかけて背中から倒れてみるとわずかに壁が窪む。それを数十回繰り返してようやっと数m進むという持久戦。過去第二の強敵はその後徳島で出会った。そのときは押し出されて涙の敗走だった。 写真は昨秋の和歌山。このくらいなら負ける気がしない。身長差30cm以上、登…
No.138 椿のように落ちた桜
岸本 真弓 椿は花が落ちる様が、まるで斬首のようだとして昔の日本人(武士)は忌んでいたらしい。そんな話がなぜか中学の英語の教科書に載っていたことを思い出す。 春、例年のように京都の山を歩いた際、まるで椿のように桜の花がまるごとポトポト落ちていた。初めて見た。鳥類の調査をしている人に聞いてみても「さて?」ということだった。 それから数日後、4月10日の朝日新聞の夕刊の一面に回答が載った。スズメの仕業だというのだ。もともと桜の蜜を吸っていたメジロやヒヨドリの嘴は細く、花の正面からのアプローチが可能であるが、スズ…
No.137 ハイ、チーズ!
本多 響子 「キレイに撮ってね。」と言わんばかりのカメラ目線のニホンカモシカ。 実際は、我々に警戒して固まっているだけである。 ※写真は2010年9月に長野県北沢峠付近で撮影 20110405_hicheese.JPG
No.136 「花のような」理由
岸本 真弓 フォトブログNo.91で花のような新葉の紹介をしました。このブログで紹介したものだけでなく、新芽、新葉には赤い色のものが多いと感じていました。写真は関西分室の窓から見える街路樹のケヤキです。 鷲谷いづみさんの書かれた子ども向けの植物の本を読んでいたら答えが書いてありました。赤い色はアントシアニンによるもので、若くて弱い葉を紫外線や寒さから守るために働いているのだそうです。 アントシアニンは目にいいと言われている抗酸化物質の一種です。空に向かって伸びていく植物の一番の先端にはあらかじめ備わっているの…