研究員によるフォトブログ

No.141 ツバメ家族との出会い

2011年05月23日

姜 兆文  2010年、南アルプスのシカ調査期間の7月30日早朝、宿の前にある芦安集落のメインロードを散歩した際、ヒナを育てているツバメと出会った。バスターミナルの白い建物のドアのそばに巣があり、親鳥が餌を運んでくると5羽のヒナは並んで大きなクチバシを開いて、幸せそうに受け取っていた。この光景を見て、幼い頃田舎の実家の玄関でヒナを育てていたツバメのことを思い出して、懐かしかった。  ご存知のように、ツバメとスズメは人間と同じ生活環境に生息している代表的な2種の鳥である。人類が農耕社会になると共に進化した結果だと思う…

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No.140 寒中水泳

2011年05月16日

佐伯 真美  吐く息も白くなる真冬の寒い日に、寒中水泳を楽しむ?サルがいた。 ダム湖でサルの群れを観察中、喧嘩により逃げ場を失ったオトナオスが湖に飛び込み、約200m先の岸まで泳ぎきるのを目撃した(写真1)。このオトナオスは逃げ場を失ったのだから、まだ致し方ないと思えたのだが、その翌日、別の群れの老齢メスが湖を悠々と泳いでいるのを目撃した(写真2)。何か騒ぎがあった訳でもないのに、この寒い最中、何故、老齢メスが泳いでいるのか理解し難い。その後、この老齢メスは約100m先の岸まで泳ぎ、岸辺で日向ぼっこをし始めたのだが…

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No.139 羊歯の海(行く手を阻むもの4)

2011年05月09日

岸本 真弓  これまでの調査人生、最大の薮は15年ほど前、和歌山で立ちはだかったシダだ。高さは2mを越え、手の届かない上空で葉は笠のように覆っている。周囲は壁。茎が土壁の木舞のようにびっちり編まれている。押しても引いてもビクともしない。狭い足下でピョンと跳ねて全体重をかけて背中から倒れてみるとわずかに壁が窪む。それを数十回繰り返してようやっと数m進むという持久戦。過去第二の強敵はその後徳島で出会った。そのときは押し出されて涙の敗走だった。  写真は昨秋の和歌山。このくらいなら負ける気がしない。身長差30cm以上、登…

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No.138 椿のように落ちた桜

2011年04月28日

岸本 真弓   椿は花が落ちる様が、まるで斬首のようだとして昔の日本人(武士)は忌んでいたらしい。そんな話がなぜか中学の英語の教科書に載っていたことを思い出す。  春、例年のように京都の山を歩いた際、まるで椿のように桜の花がまるごとポトポト落ちていた。初めて見た。鳥類の調査をしている人に聞いてみても「さて?」ということだった。  それから数日後、4月10日の朝日新聞の夕刊の一面に回答が載った。スズメの仕業だというのだ。もともと桜の蜜を吸っていたメジロやヒヨドリの嘴は細く、花の正面からのアプローチが可能であるが、スズ…

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No.137 ハイ、チーズ!

2011年04月05日

本多 響子 「キレイに撮ってね。」と言わんばかりのカメラ目線のニホンカモシカ。 実際は、我々に警戒して固まっているだけである。 ※写真は2010年9月に長野県北沢峠付近で撮影 20110405_hicheese.JPG

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No.136 「花のような」理由

2011年03月16日

岸本 真弓  フォトブログNo.91で花のような新葉の紹介をしました。このブログで紹介したものだけでなく、新芽、新葉には赤い色のものが多いと感じていました。写真は関西分室の窓から見える街路樹のケヤキです。  鷲谷いづみさんの書かれた子ども向けの植物の本を読んでいたら答えが書いてありました。赤い色はアントシアニンによるもので、若くて弱い葉を紫外線や寒さから守るために働いているのだそうです。  アントシアニンは目にいいと言われている抗酸化物質の一種です。空に向かって伸びていく植物の一番の先端にはあらかじめ備わっているの…

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No.135 里狐

2011年02月18日

清野 紘典  近頃、里でキツネの姿をみる機会が増えている。 狩猟統計をみると、キツネの捕獲数は年々減少傾向にある。 捕獲の対象から遠ざかっているキツネは、ひそかにその数を増やし里にあふれているのかもしれない。 写真は2010年6月に滋賀県で撮影。 20110218_satogitune.jpg

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No.134 氷柱の歯(行く手を阻むもの3)

2011年02月04日

岸本 真弓   冬季は閉鎖されている四国剣山スーパー林道に許可を得てシカ調査にでかけた。標高があがるにつれ寒さが冷たさに、痛さに変わっていく。1,550mで剣山トンネルに到達。車のライトに照らされた内部には氷柱が牙をむいていた(写真上)。ゆるゆる車を進めるが、最大の難所では、路面にも氷の丘ができ、何かの刺激で無数のナイフが振ってきそうだった。  帰る日、テレメ個体を探してもう一度トンネルまで行った。残念ながらトンネル手前では受信できなかった。トンネルを越えたかった。氷柱は歯から格子へと形を変えていた(写真下)。歩い…

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No.133 王蟲?

2011年01月28日

岸本 真弓  紀伊半島の大台ヶ原、シカの影響によってスズタケが退行している。元はスズタケがびっしり地面を覆っていたのだという場所を歩いていると、そのことを窺わせる残骸が残っていた。よく見るとどこかで見たような形状。  フィルムカメラの写真を探したら出てきた。竹の根っこ。『風の谷のナウシカ』の王蟲のモデルは絶対コレ、とひとり思ったものだ。  王蟲は新しい生態系の構成種である。スズタケの残骸は何を物語っているのか。 20110128_omu.jpg

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No.132 ●の恋路を邪魔する奴は

2010年12月10日

岸本 真弓  鉄塔の下から、一本向こうの鉄塔の足もとを見る。肉眼では茶色い点にしか見えないが、10倍ズームのカメラはそれがサルであることを捉える。仲間から離れてふたりだけの世界にいるようだ。  しばらく覗いていたら、私に気づいてギロリと睨んだ。・・・ような気がした。こんなに遠くても見られるのは嫌らしい。 20101210_koiji.jpg

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No.131 秋の香り

2010年11月25日

川村 輝  秋に入っても猛暑から抜けず、頭も溶けてしまいそうな暑さが続いていた。 サルを追って谷戸状の公園内を歩いていたら、綿あめの様な甘い香りが鼻先をかすめた。 覚えのある香りに、周りを見回すとまだ青々としたカツラの木があった。足元をよく見ると黄色くなった葉や茶色く乾いた葉が落ちている。まだまだ先と思っていた落葉が始まっていたようだ。 カツラの葉を拾ってみると黄色い葉はあまり香りはしないが、茶色く乾いた葉は甘い香りがする。この甘い香りの正体はマルトールなのだそうだ。マルトールは糖類を熱分解した時に生成され、カラメ…

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No.129 山を割る (行く手を阻むもの2)

2010年10月22日

岸本 真弓   尾根を歩いてシカの糞塊数を数える糞塊密度調査。下を向いて歩いているが、ときどき顔をあげた目線の先がなんとなく明るい時には、嫌な予感がする。  案の定、林道が尾根をぶった切っていた。現代のモーゼは、人を通すために山を割る。仕方なく、小股でチビチビ法面の縁を歩いて降り、向かいの尾根までまた登り返す。そんなことをやっているのは、私だけではないようだ。こぼれ落ちたシカの糞からため息が聞こえてくる。 20101022_yamawowaru.jpg

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No.128 ピラミッド? (行く手を阻むもの1)

2010年10月08日

岸本 真弓  本フォトブロNo.127で紹介した小豆島のシシ垣を日本版“万里の長城”と呼ぶ人もいるという。ならば、これは日本版“ピラミッド”? いや、積んだという点ならシシ垣の方が“ピラミッド”かもしれない。  シカの糞を数えながら、尾根を登っていったら、目の前に立ちはだかった(上図)。2年前には別の会社の人が調査した場所のはずなんだが・・・  小豆島大阪城石垣石切丁場跡の近く。平成の石切丁場、まだ石切中である。仕方なく、縁の尾根を登って調査したが、高所恐怖症の私には足のすくむ風景だった(下図) 20101008_…

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No.127 小豆島のシシ垣

2010年09月27日

岸本 真弓   小豆島のシシ垣は、わが国最大規模と言われている。獣害対策のために江戸時代から作られ、総延長120kmもあったらしい。有名なのは池田町長崎の尾根上にある幅0.6m、高さ1.6m、延長200mの土壁垣で、観光名所にもなっている。  小豆島は石の島でもあり、大阪城の石垣を切り出したことで有名だ。  シカの調査で小豆島を訪れた際、調査地内でいくつかの石垣のシシ垣を見た。現在の里に近いところもあれば、近年足を踏み入れた人は何人か?と思うような山奥深くにもあった。食べることに全精力をかけてくる野生動物に対して、…

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NO.126 紅(べに)

2010年09月08日

岸本 真弓  シカの調査で山を歩くとき、調査地はシカが問題になっている地域が多いため、すでに植生は変化してしまっている。  春、イノシシ調査で鳥取の山を歩く。アオキに出会う。シカが増えてきたら一番に姿を消す植物のひとつだ。おちょぼ口に指した舞妓さんの紅のように、実が色づき始めていた。いや、さしずめ現代なら、爪先のみを色づけたネイルアートか。  鳥取の山、いつまでアオキを愛でることができるだろう。 20100908_beni.jpg

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NO.125 続々・無防備な動物

2010年09月03日

加藤 洋  アナグマは、無事道路を渡りきった。私が行き交う車両に合図を送り、アナグマが道路を渡りきるまで皆様に待っていてもらったのだ。  あまりに、無防備なアナグマ。やはり、先程覚えた違和感が気になる。そっと近づき、確認してみた。側溝に倒れ込んでいる。激しい呼吸音。眼球は両方とも白内障様の状態を呈している。どうやら視力は殆どないようだ。外傷は認められない。毛並はまずまずなのだが、かなりの老齢なのだろうか。あるいは、既に一度轢かれていたのか・・・。  野生動物は、野生に生きている。我々が感知し得ない様々な事情により、…

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NO.124 決死の脱出

2010年09月01日

岸本 真弓   檻を用いた捕獲では、錯誤捕獲が避けられない。餌の工夫や、トリガーの調節でなんとか低減を目指すが、それでもやっぱり目的外の種が捕獲されしまうことがある。その際には速やかに放獣してあげなくてはならない。  アライグマ用の捕獲檻にイタチが捕まっているのが遠目に見えた。たぶん捕獲直後は大暴れだったのだろうが、力つきたか、小休止か、静かにしていた。放獣してあげようと檻に近づくと、逃げようと俄然必死になりだした。何度も試みたはずだろうが、もっとも大きな目から、抜けだそうと体を突き出した。「えーっ 無理だよ。今扉…

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NO.123 初夏の実り

2010年08月30日

川村 輝  初夏の時期、クワは実りの時期を迎える。普段山いて下に降りてこないサルの群れもクワの実を求めてあちこちで畑近くに降りてくる。 お昼休みのささやかなデザート、季節の恵みを舌で実感する。この日のメニューはクワ杏仁。まぁ何のことはない。コンビニ杏仁豆腐に摘みたてのクワの実をたっぷり乗せるだけだ。  動物たちは良くも悪くも作物が一番おいしくなる時期をよく知っている。人間はスーパーに行けば季節を問わず野菜が並び、時折季節感を見失う。旬のものは栄養価も高く、美味しく、しかもありがたいことに安い。わざわざ高価なハウスも…

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NO.122 続・無防備な動物

2010年08月24日

加藤 洋  先程怒らせてしまったアナグマ。居心地が悪くなったのか、のそのそと移動を開始した。「邪魔しちゃったかな・・・」と反省しつつも、あまりに無防備なアナグマに対し、少し違和感を覚えた。後肢がややふらついている・・・。 あ、あぶない!!(続く) 20100824_d2.jpg

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NO.121 柵によるシカの惨死

2010年08月18日

姜 兆文  ニホンジカ(以下はシカとする)の白骨(頭が柵に絡まって死亡、写真1)、別のシカの白骨(角が柵に絡まって死亡、写真2)、最後にシカの死体(角が柵に絡まって死亡、皮はまだ新鮮で、肉の殆どは食べられていた、写真3)。これは私がシカの調査をするため、ある日、山に設置された柵沿いに歩いた時撮影した「シカ」の写真である。皆さんはこの写真を見たら何を考えるでしょうか。私は悲惨な世界だと思った。柵内植林の樹齢により、その柵は20年前に植林した時、幼樹を保護するため設置され、現在まったく防護機能がなくなったと思われる。 …

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