研究員によるフォトブログ

No.169 角

2012年06月30日

山田 雄作 先日、神奈川県の丹沢山へ登ったときに出会ったシカの1枚です。 この時期にだけ見られる袋角のオスです。 シカの角は枝角と呼ばれ、毎年落角と再生を繰り返します。 角は春から秋にかけて形成され、形成途中は写真のように袋角となり、秋には袋がとれて立派な角になります。 20120630_tuno.jpg

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No.168 山で出会った有毒植物

2012年06月05日

中山 智絵 雁坂峠を訪れた際、妖艶な色の花をつけた植物が沢沿いに繁茂していた。この辺りはシカの影響で下層植生はすっからかんなのだが、この植物は元気いっぱいに葉を広げていた。 これはもしや有毒植物なのではないかと思い、家に帰って早速調べてみると、やはり有毒植物であった。しかも全草有毒で、死亡することもあるそうだ。その名はハシリドコロ(ナス科ハシリドコロ属)。名前の由来も恐ろしい。ハシリドコロの“ハシリ”は誤食した後に幻覚が生じて走り回ることに由来しているようだ。 厚生労働省のHPには、芽生えをフキノトウや柔らかく美味…

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No.167 プロゴルファー猿?

2012年05月23日

岸本 真弓 三重県のあるサルの群れを追跡する機会を得た。3日間の調査であったが、3日間ともひとつのゴルフ場に滞在していた。昼間はゴルフ場を取り囲むようにある林で採食し、夜はゴルフ場内に点々とある林で眠っていた。朝早くにはゴルフ場内を闊歩する。私たちはゴルフ場には入れないので、遠方から観察するだけ。 ゴルフ場も災難なんだろうが、人馴れが進むという点ではサルにとっても喜ばしくない。 20120523_purogorufa.jpg

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No.166 行き着くところ

2012年05月09日

岸本 真弓 毎秋訪れる滋賀の山。 尾根を道路がぶった切っているので、法面を右に左にちょこまか歩いて道路に降りる。途中移動する法面中段の幅50cmほどのコンクリ道(?)に大きなタヌキのため糞がある。今年もあった。 タヌキにとってここが終点なんだろうか。 20120509_norimennotamefun.jpg

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No.165 コハクチョウ

2012年04月26日

山田 雄作 1月の千葉県での調査の際に山から下山したところにあるダムでコハクチョウを見つけました。 この調査ではあまり水辺へ近づくことがなかったので、気持ちよさそうに水際で羽ばたくコハクチョウを見て、癒されていました。越冬のためにやってくるようなので今は日本にいないかもしれません。 神奈川の山の中ではミソサザイやオオルリの囀りが聞こえてくる季節になりました。 20120426_kohakuchou.jpg

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No.164 コシダの家

2012年04月12日

岸本 真弓 久しぶりに和歌山の山を歩いた。 台風の爪痕が激しい場所を避けたため海岸沿いが多くなった。 「そういえば人生最大の藪は和歌山のシダ藪だったなあ」などと思い出す。 そんなシダが上手に家に作り変えられていた。イノシシの繁殖用の巣。 よく見るのはササで作ったものだが、ここではコシダ。シカの忌避植物でもあるため、そこいら中に繁茂している。イノシシ君(さん?!)、もっと使ってくれないかな。 20120412_koshida.jpg

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No.163 リボンちゃんと猫ふぐり

2012年04月05日

岸本 真弓 ころんとしたシラキの実はネコの精巣のようだ。 丸みを帯びたハート型のマルバノキの実はまさにリボン。どちらもとてもかわいい。これらは朔果(草かんむりのある朔)で、成熟すると果皮が裂けて、中から種子が飛び出てくる。私が名前にいただいた「真弓」の実もそうである。   20120405_ribon.jpg

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No.162 頬袋(ほおぶくろ)のドングリ

2012年03月19日

清野紘典 頬袋はサルにとって食料を運ぶための大切なポケットである。文字通り頬が袋のようにふくらみ食べ物を詰め込むことができる。たくさん物が詰まっていると“こぶとりじいさん”のようになる。頬袋に詰めたものを食べたいときは、適宜手で頬袋を押し口内に物を押し込む。 学術研究で山のサルを眠らせたとき、その頬袋から大量のドングリがでてきた。 いつもならカキや穀物類が出てくる時期である。 今秋、ドングリ類が豊作だった。 クマやサルは里に出てこず、自然が豊かであれば獣たちが十分に山で暮らせることをあらためて教えてくれる1年であっ…

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No.161 帰り道

2012年03月11日

山田 雄作 調査からの帰り際に道の脇からガサガサと大きな音がしたのでライトで照らしてみると2頭のイノシシが争っていたので動画を撮影しました(写真1)。 人目も気にせず少しの間争いが続いた後、一頭がコンクリート塀から落とされ国道上に落ちてきましたが(写真2)、あまり慌てる様子もなく頭に枯葉をつけたままトボトボと林内に消えていきました(写真3)。 動物の急な飛び出しにはご注意を・・・ 20120311_inoshishi.jpg

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No.160 「絞めるか、切るか」

2012年02月16日

岸本 真弓  今秋、鳥取の山でねじれた木を見つけた(写真1)。 太いツタがりっぱな樹をねじっている(写真2)。 ふと根元をみると、イノシシの擦り跡があった。そしてそのツタが切られようとしている(写真3)。  生物がそれぞれ生きる中で、何が何にどう影響するかは私たちの想像をはるかに超えていると思う。 20120216_nejirukakiruka.jpg

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No.159 「有終の美」

2012年02月08日

岸本 真弓 秋。鳥取県内、兵庫県境近くの山。 少し早いが楓が美しく色づいていた(写真左上)。 近づいて見ると、悲しいことにそこで色づく3本の木の樹皮はすべて、シカによって全周が剥ぎとられていた(写真左下)。見上げるといっそう美しく、まさに有終の美だった(写真右)。カエデ類の種は夏から初秋にかけて熟す。いつ皮を剥がれたのかわからないが、きちんと子孫を残したろうか。見た目の美しさより生物としてのしぶとさという美しさに賭けたい。 20120208_yusyunobi.jpg

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No.158 「今年の秋、鉄塔を見て考える」

2011年12月09日

岸本 真弓 秋、恒例のシカ調査。滋賀県のいつものコースを歩く。このブログNo.44、70、132と同じコースだ。 鉄塔の下は見晴らしがいい。周囲の樹木が切り払われているからだ。だから、No.132のようにサルのランデヴーをのぞき見したりもできる。  しかし、今年、私の目は鉄塔から離れなくなった。どこからか電気を運ぶ無数の鉄塔と電線。どこでどのようにして電気は作られているのだろうか。人間の便利な暮らしを支えるために、自然が、誰かが、犠牲になっているのではないか、またそれを強いるのではないか。3.11は、変わらぬはずの…

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No.157 蜘蛛の網 (行く手を阻むもの6)

2011年11月21日

岸本 真弓  糞を探しながら下を向いて歩いているとかすかに空気が重くなったような圧力を頭に感じることがある。やってしまった! と瞬時に止まり、後ずさりする。 ねっとりとへばりついた蜘蛛の巣がねちねち音をたてながらゆっくり頭から離れていく。突っ切ってしまった時は、パックをはぐように顔から網をはずす。面としての形状はかなり頑丈だ。  この蜘蛛の巣、場所や時期によるが多い時には多い。細い枝を斜め前方に突き出し、くるくる回しながら歩けば、網をかぶることはない。しかし、そうもやってられないこともある。 蜘蛛の網vs岸本関。痛…

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No.156 バク?

2011年10月24日

岸本 真弓 7月14日、とあるところで自動撮影装置がとらえた写真(上)。 まさか、夢を喰うというバク?! 正体は泥からあがってきたイノシシのお母さんでした(下)。 水深はあまり深くなかったのでしょう。でも、犬座姿勢にはなったような濡れあとです。 意外と知られていませんが、夏場のイノシシにはあの剛毛がなく、とってもヌーディ(円内)。 20111024_baku.jpg

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No.155 500台湾ドルの花鹿

2011年10月11日

清野 紘典 台湾を旅した際に、換金した紙幣にふと眼が留まった。 台湾の紙幣500台湾ドル。日本円では約1500円に相当する。その紙幣にはニホンジカの亜種タイワンジカが描かれていた。 タイワンジカは今、台湾でどのようになっているのだろうか? タイワンジカは鹿の子模様が梅の花のようであることから“花鹿”とも呼ばれる。 花鹿は漢方薬として需要が高く中国等に広く流通していた歴史を持っているが、過度な狩猟圧によって台湾本島の野生下ではほぼ絶滅している。 どのような捕獲方法を用いてシカの個体群を絶滅まで追い込んだのか、日本にお…

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No.154 ナイス!!!

2011年09月30日

横山 典子 屋久島で、いいものを見つけました。 橋のたもとにある像ですが、ものすごくリアルです。 ニホンザルのしっぽが長かったり、 タヌキのしっぽに縞模様が入っていたり、 飛び出し注意のシカがオジロジカだったり、 動物への誤解が多いこの時代の中で、ひときわ異彩を放つ完璧なニホンザルです。 動物を相手にすることを生業としている我々(言い換えると、マニアックな人間)の目から見ても、すばらしいできばえです。 そのサルに、タオルのはちまきをつけた人、この方もすばらしいセンス。 反対側の橋のたもとには、角を切られたオスジカが…

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No.153 残念です。

2011年09月12日

岸本 真弓 「山火事注意」の看板(図1)と「工事中ご注意ください」の看板(図2)。 残念です。 どうして尻尾をシマシマにしてしまうのでしょう。 それじゃ、アライグマですから! 20110912_zannendesu.jpg

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No.152 巣箱に住むと幸せになる?

2011年09月05日

姜 兆文  丹沢山のある地域で4人が話しながらシカの調査をしていたところ、ヒノキの幹に掛けてあった巣箱からムササビの頭が出ているのを見つけた(写真)。皆は小さな声で「ごめんなさい」と言って互いに笑った。つまり、夜行性のムササビは私達のうるさい声に睡眠を邪魔され起こされたのだ。  このムササビとの出会いからあることが考えられる。山を歩くと、鳥・ムササビなどのため、あちこちに巣箱が掛けられているのが見られるが、これは戦後大規模な造林によって動物が巣として利用していた穴等がある古い木がなくなってしまったための一時的な措置…

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No.151 懐かしい味

2011年08月30日

中山 智絵  サルの調査に出かけた際、ホオズキの食痕を見つけた。食痕を観察しながら、幼いころには私の家の庭にもホオズキがあったことを思い出した。  この実は食べられるんだよ、と教えられて食べたオレンジ色の果実は渋くて酸っぱい味がした。少し苦かったかもしれない。しかし、赤く色づいたものは渋みがあまりないので、時々口に運んでいた。体に良いらしい、とも聞いたからだ。それを見ていた祖母は「あんまり食べると毒だよ。」と注意した。当時は、体に良いのに毒があるなんて本当かなと疑っていたのだが、今になってびっくり。ホオズキには薬効…

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No.150 キツネのメニュー

2011年08月22日

山田 雄作  先日、甲斐駒ケ岳へニホンジカの調査に行ってきました。天候はあいにくのため期待していた高山帯の壮大な景色を楽しむことはできず、むしろ雨に打たれて寒くて大変厳しい調査でした。  そんな調査の帰り際、甲斐駒ケ岳のピーク付近でキツネの糞を見つけました。高山帯でのキツネの生息は以前から確認されていることから、キツネの痕跡の発見はよくある自然なことではあります。  問題はその糞の中身であり、1本の輪ゴムが確認できました(写真1)。このことからキツネが人の出した残飯やごみを利用していることがわかります。実はキツネの…

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