フォトブログ一覧
No.235 丹沢
三井 夏紀 本社から徒歩2分プラス階段で、遊歩道に出ます。運動不足、ストレス解消に、朝、長い階段を上り、丹沢を眺め、写真に残します。 事務担当で調査に出ない私は、みんなが調査に出る丹沢がどの辺なのか分かりませんが、そのひととき、調査の無事を願います。 WMOには、調査に出る人だけでなく、事務所でみなさんの帰りを待つ人もいます。 20160422_tanzawa.jpg
No.234 白い花、赤い花。好き? 嫌い?
岸本 真弓 関西分室の玄関脇に立つハクモクレンはもう若葉の季節となったが、京都の日本海側の町に行った時、モクレン(紫木蓮)が満開だった。モクレンとハクモクレンは色が違うだけで同じ種類の植物かと思っていたが、違う種だと調べてわかった(モクレン:Magnolia quinquepeta、ハクモクレン:Magnolia heptapeta)。 春のシカ調査で山を歩くと、シカの忌避植物として我が世の春を謳歌するようなアセビが白花をたわわにつけている。よく見ると、スズランのような釣り鐘型の可憐な花である。色は、房すべてが真…
No.233 冬の山の彩り
岸本 真弓 サルを追いかける山の中で、小鳥の姿に癒やされた。 冬、木々は彩りを落として静かに息づいている。 ウソの桃色の喉はあでやかだ。 あでやかさに嫉妬した人が「ウソ」などという名をつけたのではとさえ思うほどだ。 ジョウビタキのお腹は地味な背景には真紅とさえ見える。 そもそも真紅などという色は何から定められたのか。 空は水色というが、水は透明だ。 色をインプットする際に何を植え付けられているのだろう。 20160119_syashin2.png
No.232 天然盆栽
姜 兆文 9月末、尾瀬沼の周辺を散策した時、歩道の遠く前方に、太い枯れた切り株の上を彩る、華やかで盆栽のような色鮮やかな紅葉の藪を見つけた(写真1)。切株の上に古木のひこばえから成長した「老いた株の上の新芽」が、また長年に渡って蓄積されたほこりと落葉などを由来とする土壌で成長した植物だと思った。距離を縮めて見ると、老いた株の上にはびこる根を発見した(写真2)。株の幹に貼り付いている付着根を辿ってみると、つる性の茎は、地面に達していることが分かった(写真3)。そしてついに、この天然の盆栽の正体がダケカンバの切り株に…
No.231 本人たちが納得しているならば
海老原 寛 アカメガシワは、明るいところになら比較的よく見かける木本である。この植物は、アリを利用して外敵から防衛することで有名である。葉の付け根などに蜜腺があり、その蜜を提供することでアリを呼ぶ。そのついでに、アリは葉を食べる蝶の幼虫などを捕えていくため、結果的に防衛ができるのである。ところで、アカメガシワは「蜜」というコストを払って「防衛」というメリットを得ているにもかかわらず、アリは「蜜」と「幼虫」というメリットを得ただけで、コストを全く払っていない。これも一種の相利共生なのだろうが、不適切ながら私には「ヒモ…
No.230 スズメバチとスズバチ
岸本真弓 スズメバチは私の天敵だ。前回刺された時にかなりの症状が出たので、次はただではすまないだろう。 そんなスズメバチが糞虫を殺すところを見た(写真1)。シカの糞に数匹の糞虫が集まっていた。写真を撮ろうと近づくと、私より早くスズメバチが糞虫にとびかかり、1匹を捕まえた。スズメバチを恐れる私は3mほどさがった。スズメバチはその場でバリバリと音を立て押さえ込んだ糞虫のどこかを噛み砕いている。周りにいた他の糞虫たちは、慌てるでもないが、そそくさといなくなった。十数秒だろうか、数十秒だろうか、噛み砕きを終えたスズメバ…
No.229 暑い夏を乗り切る方法~民家の瓦~
檀上 理沙 毎日厳しい暑さが続いていた2014年8月の朝7時ごろ。 早朝の涼しい風がやみ、徐々に日差しが攻撃的になり始めた時間帯に、ニホンザル♂がとった行動(写真1)。 民家の屋根にへばりつき、夜間のうちに冷やされた瓦で自分の身体を冷やしたかったようだ。 林内の木陰で休むことよりも、人目をはばかることなく屋根の上で大の字になることを選んだ彼は、とても気持ちよさそうな顔つきで寝ていた(写真2)。時より、車から観察する私をチラ見するが、ピクリとも動こうとしないという少しふてぶてしい態度。 人馴れが進んだ地域の加害群では…
No.228 人のこと言えない
海老原 寛 糞を探しながら下ばかり見て山を歩いていると、顔にクモの巣が絡まることが多々ある。調査中に私がわずらわしく感じることランキングでは上位に位置している。それにしても、あのタイプのクモはなぜ巣の中心にいるのだろうか。どこに獲物がかかってもすぐに駆けつけることができるメリットはありそうだが、小さなクモならまだしも、ジョロウグモのような大きさであれば獲物に簡単に気付かれそうなものだ。虫の感覚について詳しいことはわからないが、もう少し注意したらどう?と言ってあげたくなる。と言いつつ、私もまた引っかかっているのだが。…
No.227 石のイノシシを発見!
姜 兆文 シカの糞塊調査ルートで、イノシシの掘った跡がよくあった。イノシシの姿も見えるかなぁーと思いながら調査を続けた。突然、調査ルート上、一つの巨石に私の進路が阻まれた。迂回して通って、背後の巨石を見ると、巨石の根元に隠れたイノシシがと思うような石を発見した(写真1)。皆さん、この石はイノシシだと思いますか。私は見た瞬間、特に頭部と前半身(写真2)、イノシシだと思った。巨石の側面から見ると、本来、イノシシは巨石の一部として、巨石から綺麗に分かれて、薄い石の板になった(写真3)。 地質変遷の長い歴史の中で、何らかの…
No.226 声なき声を聴く
岸本真弓 5月、山を歩いていたら何かが頭にポツンと当たり、落ち葉の重なる地面にカサっと落ちた。見ると長さ1cm直径5mmほどの葉っぱの巻き物だ。とても丁寧に巻いてある。 開いてみる。筒の側面の折り込み方など、かなり精巧な仕事だ。巻きをはずし、綺麗に半分に折られた葉を開くと、中にトビウオの卵のような黄色透明な卵がひとつあった。これは? パソコンで「葉、虫卵、巻物」で検索すると一発で答えがでた。“オトシブミ”だ。名前は聞いたことがあったが、初めて見た。まさに落とし文。中に伝えたいことが書いてありそうだが、いくら開い…
No.225 ブレーメンのカキもぎ隊
檀上 理沙 ※合成ではありません。 サルの群れを追跡していたときの一コマ。 民家脇にあるカキの木を狙うサルたちを記録するためシャッターを切った瞬間、私は叫んだ。『ブレーメンッ♡』 グリム童話の一編「ブレーメンの音楽隊」には、ロバ・イヌ・ネコ・ニワトリが団結して縦に連なり、家の中にいる泥棒たちを脅かしてごちそうを奪いとるシーンがある。 今回は、この偶然撮影できた1枚の写真に私が釘付けになっている合間に、まんまと彼らはカキをゲットし、そそくさと逃げて行った。 (写っていませんが、写真左横にカキの木があります…
No.224 両立の大変さ
海老原 寛 山を歩いていると、伐採地に出た。そこには一面に草本が広がっていたのだが、ほとんどがダンドボロギクであった。ダンドボロギクは外来種であると同時に、シカの不嗜好性植物として知られている。今後、スギやヒノキなどの人工林を広葉樹林に変えていく取り組みがおこなわれていくだろうが、伐採後に芽を出した日本原産の草本はシカに食べられ、代わりに外来の不嗜好性植物が広がる光景が増えていってしまうのか。頭で予想はしていても、実際に目にするととても残念な気持ちになる。 20150810_ryouritsu.jpg
No.223 山のベンチ
岸本真弓 ある山の小さな鞍部を通り過ぎようとしてふと見ると、ハシゴのようなものが見えた(写真1)。近づいてみると、苔生したベンチがあった。鞍部を見通すような位置に設えられたベンチ。旅人の休憩所か、山の精たちの語らい場か。。。 夢を壊してしまうが、種明かしは写真3。山越え旧道の欄干である。下に現在の車道が見える。いつの時代のものか分からないが、現代のガードレールのようなものか。時を経て、土は削られ、緑の絨毯をまとい、鞍部を渡る動物たちの観覧席になったようだ。 20150804_yamanobenchi.jpg
No.222 異端児はオシャレの最前線?
海老原 寛 変わった形の角を持ったシカの頭骨(角付近のみ)を見つけた。シカ角の特徴である枝分かれがないが、かといって1歳の角でもなさそうだ。袋角かとも思ったが、枯角のようである。私はこのような現象の原因に詳しくないが、ホルモンが影響しているということを聞いたことがある。そういえば学生時代、ハンターの巻狩りに同行させてもらった時には、ヘラジカのような平らな角を持ったシカを見た。それは冬であったにも関わらず、完全な枯角ではなかったように記憶している。シカの角はメスへのアピールに貢献していると聞くが、このような角を持った…
No.221 初冠雪の富士山
姜 兆文 10月17日、山梨県での調査中に杓子山から初冠雪の富士山を見ることができた。平野部から雲の端を貫くようにそびえ立つ独立峰の雄大さと美しさを改めで感じた(写真1)。山頂部をカメラから覗くと、うっすらと積もった雪に覆われた頂上、鋭い稜線、さらには蛇行する登山道もはっきり見ることができ(写真2)、大自然がかもしだす美しい傑作に感動した。一方、同じ日、悲しいニュースも耳にした。積雪などの天候の厳しさにより、御嶽山の噴火被害による7名の行方不明者の捜索活動が断腸の思いで、やむを得ず中止された。この噴火被害を機に、噴…
No.220 ママーーーーー!!!
檀上 理沙 2014年7月。母グマがイノシシ用の箱わなに錯誤捕獲され、子グマが周囲にうろついるとの通報が入り、現場へ向かった。現場到着時、母グマはすでに興奮状態で、周囲は緊迫した雰囲気に包まれていた。状況確認のため、箱わなに接近すると近くの薮から『クマーーーーッ』『ンマーーーーッ』と鳴く声が聞こえた。私は、その時初めて子グマの鳴き声を聞いた。(本当にクマ~ッて鳴くんだぁ!)と、心の中はとても舞い上がっていたが、緊迫した状況のあまり素直に喜べない状況だった。その声は1頭ではなく、2頭で鳴き交わしており、どうやら2頭の…
No.219 愛蛇
岸本 真弓 2014年は9月から恒例のシカ糞調査が始まった。例年より1ヶ月早いため、山の空気もずいぶん違う。見とおす先は緑に揺れ、足下には草が立つ。旅立つ前の夏鳥の声が聞こえ、体が暖かな両生爬虫類たちは元気だ。 カナヘビは機敏だ。こちらが気づいた時にはもう姿が見えない。カサカサカシャーッという音が、まるで離れたところに届く花火の音のように、すべてが終わってから脳に届く。ところが、珍しく切り株の先端で動かないカナヘビがいた。最初は遠くから、徐々に間合いをつめて撮影していくが、まるで金縛りにでもあったように動かない。…
No.218 この紋所が目に入らぬか
海老原 寛 カンアオイは山を歩いているときに見かける植物だが、目立たないために気に掛ける人は少ないだろう。それでも、この植物は万人が知っているあるマークに使用されている。それは徳川家の家紋である。厳密に言えば、「フタバアオイ」が元になっているようだ。調べてみると、元々は京都の賀茂神社の神紋にフタバアオイが使われており、それを徳川家のルーツである松平家が使用していたようである。写真のものがそのフタバアオイであるかは、残念ながら私にはわからない(たぶん違うと思われる)。しかし、どちらにせよこのようなあまり「目に入らない…
No.217 スズメバチとスズバチ
岸本真弓 スズメバチは私の天敵だ。前回刺された時にかなりの症状が出たので、次はただではすまないだろう。 そんなスズメバチが糞虫を殺すところを見た(写真1)。シカの糞に数匹の糞虫が集まっていた。写真を撮ろうと近づくと、私より早くスズメバチが糞虫にとびかかり、1匹を捕まえた。スズメバチを恐れる私は3mほどさがった。スズメバチはその場でバリバリと音を立て押さえ込んだ糞虫のどこかを噛み砕いている。周りにいた他の糞虫たちは、慌てるでもないが、そそくさといなくなった。十数秒だろうか、数十秒だろうか、噛み砕きを終えたスズメバ…
No.216 イノシシ、慣れの果て
清野紘典 イノシシは小心者で臆病な動物です。 警戒心が高い動物がゆえに昼間は山林や藪の中に潜み、その姿をなかなか人前には現しません。夜がふけると人目を忍びこっそりと集落や農地に出没します。 被害対策で林の縁の整備が重要なのは、農地までの隠れ処や移動ルートとなるヤブを失くして、イノシシに緊張感を持たせることにあります。 しかし、そんな臆病なイノシシも一度人への警戒心を解くと驚くほど大胆になっていきます。その変化はまさに劇的です。写真は、とある四国の山間地で目前に現れたイノシシ。人を人とも思わぬ堂々ぶりです。 人と野生…